クリーンルームウェアには種類がある?適切な選び方や管理方法

クリーンルームウェアは、埃やゴミなどを排除した清掃な空間の中で着用する防塵服です。ここでは、クリーンルームウェアの選び方や管理方法など分かりやすく解説しています。

クリーンルームウェアを選ぶとき、何を基準にすべきか分からない人も多いのではないでしょうか。クリーンルームウェアは、ゴミや異物などが厳禁になるクリーンルームで汚染防止やクリーン化に欠かせない防塵着です。

また、クリーンルームウェアの選定方法や維持管理はクリーンルーム内で作業する作業スタッフ管理と同時にクリーン化活動の根幹となる位置づけといっても過言ではありません。ここでは、クリーンルームウェアの選び方や管理方法を解説しています。

そもそもクリーンルームウェアとは

クリーンルームウェア

クリーンルームとはゴミや異物などが限りなくゼロに近い清浄環境であり、このような環境の中で着るのがクリーンルームウェアです。

そして、クリーンルームウェアは常に清浄環境に役立てることができるものを選ぶ必要があります。正しくクリーンルームウェアを選び、さらに適切な維持管理を行うことで効果を最大限に発揮することができるようになります。

そのためには、クリーンルームウェアの正しい選び方を知ることが第一歩といえます。クリーンルームといっても求める清浄度の度合いは異なるといわれていますが、クリーンルームウェアに求める清浄度の維持は製造品目や加工などによる自動化レベルなどにより変わります。

基本的には、クリーンルームの性能×要員数および配置×クリーンルームウェアの性能、この3つを乗算したものが清浄度レベルになります。クリーンルームウェアを選択するときには、この計算式で求めて、これにマッチするクリーンルームウェア製品を選ぶことから始める必要があります。

クリーンルームウェアが必要になる理由とは

クリーンルームに入るとき、エアーシャワーで衣服に付着している埃や塵、ゴミなどを排除して内部に入ることになりますが、このときクリーンルームウェアを着用していることが基本になってきます。

もし、このような専用の服を着ないで内部に入ると、エアーシャワーでも十分なゴミ・塵・埃などの排除が不完全となり、ルーム内で製造や加工、テストなどをする際に支障をきたすことになります。

クリーンルームウェアは人体や衣服などに付着しているゴミがクリーンルーム内に放出させることを防止すること、そしてクリーンルーム内の清浄度を維持するための専用作業服です。

クリーンルームの入り口に設置してあるエアーシャワーを使えばクリーンルームウェアなら埃や塵、ゴミを取り除けるけれども普通の作業着や通勤などのときに着ているような洋服では取り除けない、このような理由からクリーンルームウェアは欠かせない存在になっているわけです。

求められる洗浄度や作業内容など、最適なものを選ぶことがクリーンルーム内の環境を左右するといっても過言ではありません。

クリーンルームの洗浄度のクラストとは

クリーンルームウェアを選ぶときは、クリーンルームの洗浄度に合うものを選択することになりますが、洗浄度のことをクラスと呼びます。

このとき注意を要するのが、各国の規格で異なる呼び方がある点です。米国連邦規格の場合は、1立方フィートあたりに存在する0.5μm以上の粒子の数により、1から10万までの中で6段階表示が行われます。

仮に、1立方フィートに100個の粒子があるときはClass 100と表記します。日本のJIS規格や国際統一規格のISOなどの場合、1立方フィートあたりに存在する0.1μm以上の粒子の数で表示するのなど、この時点で米国連邦規格との違いがあることが分かるのではないでしょうか。

なお、JIS規格は1から8までの8段階表示になるのですが、JIS規格のクラス5は米国連邦規格のクラス100と同じです。米国連邦のClass 100や1,000などの呼び方が一般的になりますが、企業などによりクラス2や3など、JISやISOの規格に準じた呼び方をすることも少なくありません。

クリーンルームウェアの選び方のポイント

クリーンルームウェア

クリーンルームウェアを選ぶときのポイントは、求められる洗浄度(クラス)とISOやJISなどどのような規格で表示されているのか、これを必ず確認することが大切です。

米国連邦規格のクラス10,000以上で継続的に着用するときは、クリーンルームウェアそのもののクラスを維持する目的でクリーンルームウェアを、クリーニングを施して埃や塵、ゴミなどの異物が付着しないようパックする必要があります。

クリーンルームウェアを扱う会社の中には、クリーン洗浄からクリーンパックまで一貫したサービスを提供しているところもあるので、このような会社の協力が欠かせません。

求められる清浄度が低い場合でも、換気回数が少ない乱流式(非一方向流)のクリーンルーム内で、管理が行き届いていないクリーンルームウェアを着ている作業員が大勢いれば低い洗浄度でも目的を達成できないことも少なくありません。

あくまでも適切な管理状態を維持してこそ、初めて目標となる洗浄度が達成されて効率的な作業環境を構築できるようになります。

クリーンルームウェアは大きく分けると2タイプ

クリーンルームウェアを選ぶときには、洗浄度(クラス)に合うものを選択することが重要になってきますが、もう一つ動きやすさや作業性の高いものを選ぶといった考え方も取り入れることが大切です。

クリーンルームウェアは上下が分離しているセパレート、そして上下が一体になっているつなぎ服タイプの2つがあります。

これらはクリーンルーム内で作り込みを行う製品のレベルによる使い分けが必要になりますが、使い分けることで作業性が高くなり動きやすさも高まるなどのメリットに繋がって来ます。

ちなみに、日本空気清浄協会(JACA)におけるクリーンルームの運転管理指針の中では、クラス1,000を超える清浄度を求める場合はつなぎ服(ワンピース型)を着用するなどの取り決めが行われているようです。

なお、つなぎ服はメーカーにより素材およびデザインに違いがあるのが特徴です。つなぎ服は、頭巾タイプのフードをかぶって、靴はひざ下部分まで覆いかぶさるロングカバー付きのブーツを使うのが一般的です。

クリーンルームウェアの管理方法について

クリーンルームウェア

クローンルームウェアを使うことでルーム内の空気環境が最善なものになるわけですが、これはウェアを適切に管理している場合の話です。クリーンルームウェアを着用していても、多くの塵埃を発生し続けることになります。

この発塵は機構的に漏洩・透過・剥離の3つに分類され、漏洩はデザイン・素材・サイズ・内衣・適切な着用・化粧、これらの要因で生じます。

透過の場合は、素材・劣化・損傷・内衣などが主な要因で、剥離は素材・劣化・損傷・着脱の際の汚染・環境からの逆汚染・クリーニングなどが主な要因です。

実際の発塵は、クリーンルームウェアのスタイルや素材など、衣服固有の性能によるものではありません。正しい着用の仕方やクリーニングなどの管理により影響が与えられるケースが多いといいます。

なお、クリーンルーム運転管理指針の中では、クリーンルームウェアの管理は、クリーンルーム用衣服管理基準を作成してこれに従い管理することが必要、このようなことが明記されており、クリーニングを終えて戻って来たときの受け入れ検査から、所定の使用期間後のクリーニング手配が行われるまでの間、全ての期間の中で管理を徹底することが求められます。

クリーンルームウェアに関するお役立ち情報を解説しましたが、クリーンルームウェアを選ぶときは洗浄度(クラス)に適したものを選択する、それとつなぎ服タイプとセパレートタイプの2つに分類されるなどについて解説しました。

セパレートタイプは洗浄度クラス10,000レベル以下の低い洗浄環境下で使用されるケースが多いのですが、これもしっかりクリーニングなどの管理が徹底していることが基本です。